アスベスト(石綿):米国の場合
今はアスベストの関連についてもコンサルティングをしているので、少しアメリカの場合の話をする。 実は日本のアスベスト法令についてはまだちゃんと学んでいないので、今回は比較等はしない。 「アメリカではこうやってる」ということだけお話していきたい。
まず、築年数が何年であろうと、アスベストの調査をしなくてはならない。 築3年であろうが、築50年であろうが、これは変わらない。 そんな馬鹿な・・・と思うかもしれないが、実は建設中の建材からアスベストが検出されたこともあったのだ。 この建材はメキシコから輸入してきたものらしいが、やはり全てをチェックすることは不可能なのだろう。 唯一この調査から逃れられる方法は、建築士が「この物件にはアスベストは使用されていません」と一筆書くことである。 ただ、いつ改築がおこなわれたかも分からない物件に、当初の書類がそろっていたとしても、サインする建築士はいないと言っていい。
調査の方法は極めてシンプルだ。 Inspector(調査士)の資格を有するものが、木・ガラス・金属以外の全ての建材のサンプルを3個づつ取る(Miscellaneous materialsと呼ばれるものは2個でいいと言う人もいるが、法令上はそうなのだが、基本的には3個取るのが一般的である)。 1日に100個以上のサンプルを取ったこともある。 また、吹付材については3・5・7ルールというのがあり、その使用面積によって追加のサンプルを採取する必要がある。 日本人には馴染みがあるので「日本人は七五三というのがあるらしく、すぐ覚えたよ」と講師の人が言っていた。
サンプルを取ったら分析屋さんにだす。 基本的に自分たちで分析することはない(コンフリクトオブインタレスト・COIに引っかかるからだ)。 サンプル量がかなり多いのだが、分析料がとても安い。 1検体1000円(レイヤーごとにお金を取られる)もいかないところもあった。
この調査だけでも仕事量が多く(これだけ検体を多くとらなくてはいけない上に築年数に関わらず改築全てに発生するため)、コンサルティング会社にとってはいい収入源となる。